Motoholic by MBK

東生駒Motoholic、 ..日々の四方山話。

エンジン温間調整(Kawasaki 650RS W3)

Motoholicのメニューには「エンジン温間調整」というのがあります。

なんてことはない、単純に調子を崩したエンジンを、調整とロードテスト(Load Test)を繰返し、本来の姿、またはお客様の好みの特性に仕上げるだけの事ですが.. 、当り前の整備を当り前にキッチリこなす事、些細な事の完成度の高さ、整備士としてのポテンシャルな力 と ライダーとしての的確な感性、総合的な力がないと成立しない作業です。

元々、BMWの空冷ツインに限ったメニューだったのですが、お客様の幅が広がり、ここではKawasaki 650RS W3 の作業を紹介致します。

 

このW3とのおつきあいの始まりは、ボイヤーのフルトラユニットの搭載の打診からでした。
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電気的にも機械的にも、かなりの苦労がありましたが、この時点で、点火時期をしっかり確保してあります。
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これまでに、燃料タンク洗浄、キャブレター洗浄OH、充電系リビルト交換等々、色々な過程を経て、基礎的な要件を固めてきました。 ..そして、今回、最終的なエンジン温間調整に取り掛かりました。 

 

先ずは完全冷機で弁隙間調整。正しい燃調の前には必須の作業です。
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左EXの弁隙間が極端に過大でバルブステムのてっぺんに、シリコンシーラントを意図的に盛ったらしい痕跡がありました。 入庫時点のキャブレターセッティングから判断して、確信犯的な裏技(決してマトモな仕事ではない)が施されていたのではないかと想像されます。

 

キャブレターは、フロート高さが信用できず、実油面を測定&調整 からスタート。
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記録を取りながら、ひたすらロードテスト(Load Test)と調整を繰り返します。f:id:motoholic:20161007154427j:plain

 

元は最高回転数がレヴリミットの7500rpmにすら届かなかったエンジンでしたが、全域にわたって、この程度のプラグ焼色を得、実用回転域1500~8000rpmとなり、 復調致しました。
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私の流儀で、燃調途上でプラグの清掃を出来るだけしません。 プラグのネジ部先端に残ったカーボンが、燃調前の状態を物語っています。
この後、プラグクリーナーでブラストするか、新品に交換してお渡しです。 勿論電極の間隙もイグナイター、コイル、燃焼状態 にあわせて、応答性の良いところを探り出します。

 

温間調整では... 、
プラグレンチ、ドライバー、時としてタイミングライト 等々、セッティング変更の為の最低限の工具を積んで、ひたすら実走(Load Test)して、機関の運転温度を保った上で乗り味も評価し、調整を重ね、最も適したところを探り出します。   温間調整と呼ぶ由来はここにあり、登板勾配のきつい自動車専用道規模の一般道がある当地由、シャシダイ無しに スローからフルパワー領域まで評価/調整出来るのです。

f:id:motoholic:20161007154429j:plainW3(W1型直管マフラー付)の注意点は、かなりオーバーリッチでも普通に回ってしまう事 と、僅かにオーバーリーンか僅かに油面が低すぎる場合、唐突にバルブサージの様な症状を呈したりして、目くらましされてしまう事 でしょうか.. 。どうしても、オーバーフローを含むオーバーリッチを見落としやすいです。 それと、プライマリーを開けないで電気位置(=点火時期)を 動的に確認する方法が無いのも、ピッタリくる調整を難しくしていると思いますね。

 

今般、このW3では、中低域の粘り、スロットルに対する追従、高速域の安定性、申し分なく仕上がりました。 レヴリミットを越えて8000rpm以上迄 楽に回るようになり100km/hr以上での巡航も楽なもので、サードに落としての追い越し加速も すこぶる気持が良くなりました。
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  メグロ スタミナ に端を発するWシリーズは、海外のwebサイトの記事で、BSAのデッドコピーなどと揶揄されていますが、それでもBSAより扱いやすく、デッドコピーにはあらずという記事も見かけます。 ただし、オリジナリティという点で評価が低く、欧米では所有する楽しみには欠くようです。
 では、日本でBSAやTriumphの旧車を簡単に維持できるのかというと、さにあらずで、欧州車好きの私的には、この英車の匂いがプンプンするバーチカルツインは、旧い世代の英車のスタイルの美点を日本流にブラッシュアップした一つの答として、乗って、弄って 愉しい乗り物ではないかと受けとめています。
 カッコイイですよ、姿も音も.. 。

 *庫内動画---Youtube 良質のスピーカーかヘッドフォンでお楽しみ下さい。

(H)

 ---次回記事は、BMW 空冷ツイン の エンジン温間調整です。

motoholic00.hatenablog.jp

 

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奈良 東生駒BMW空冷ツイン好きなバイク屋です。
店主は /7系空冷BMWが得意です、ご相談下さい。