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Motoholic by MBK

東生駒Motoholic、 ..日々の四方山話。

エンジン温間調整(BMW R80改+CRspecial)

BMW レギュラーメンテ&セールス

R80改、Jet-Black Bullet号 店主が勝手に名づけてしまいました。
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乗り手を前に前に誘う、そんなフィールに仕上りました。

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Motoholicのメニューには「エンジン温間調整」というのがあります。
なんてことはない、単純に調子を崩したエンジンを、調整とロードテスト(Load Test)を繰返し、本来の姿、またはお客様の好みの特性に仕上げるだけの事ですが.. 、当り前の整備を当り前にキッチリこなす事、些細な事の完成度の高さ、整備士としてのポテンシャルな力 と ライダーとしての的確な感性、総合的な力がないと成立しない作業です。
  ...今回の記事は、当店の本分、BMW空冷ツインの話題です。

 

-----このR80のカスタム車とのおつきあいの始まりは、他店購入の中古車のブレーキの不調が始まりでした。
 マスターシリンダがダメだったので、一時的に在庫車のマスターシリンダを貸し出させて頂き、仮復旧、ドイツから並行輸入した部品で恒久処置、その際にセッティングの出ていないCRキャブのリセッティングと言う形で、エンジン温間調整をお請けしたものでした。

 

Part-1
テーマ:各部のダメ直しを実施の上で、CRspecial Φ37付で、最低限ストリートユースに耐えるマシンにする。

 

 入庫時は、キャブレターは、メインジェットが全開域で合わせてあるだけで、常用域では極端なオーバーリッチ、動弁系に不適切な改造もあり、黒煙を吐き 5000rpm以上は回せないといった状態で.. 、シリンダーヘッド セミOHを含む改造箇所の復元と腰上セミOH、キャブレターの洗浄、ファンネルアダプタの修正、スロットルケーブル製作.. が出発点でした。

 

 最初に入院した頃の画像
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腰上OH中です

ご予算都合でシートカットは省いていますが..f:id:motoholic:20150112182430j:plain
キッチリアタリを出してあります。
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他に、ビッグエンドメタルなど、部品交換はしていませんが、組立が雑であったところは手直ししながら組んであります。f:id:motoholic:20150112182441j:plain
リアランス測定

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画像はビッグエンドメタルが微妙に斜めに収まっていた痕跡ですが、ダストを噛ませたりしてメタルの収まりが悪いまま組んでありました。 こういったところを手直ししながらピシッと組上げると、クランキングも軽くなります。 当たり前の事なのですけどネ。


キャブレター洗浄は、強制開閉なので簡単なものです。
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(この時点では、標準のフロートレベルで組みました)

しかし、ファンネルのアダプター金物は...
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図面を読める方なら判ると思いますが、これではメインエアジェットと干渉しており、マトモに機能しません。 ..ので、手直しさせていただきました。

 

噛み込んで折れていたスロットルケーブルは一点物で自製しました。
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手作りデス。

 

 当初はこのようなスタイルで、ファンネルだけの直キャブ、スロットルバルブが燃調部品としては高価なので、カットアウェイの変更無しで何とか低域から全開域まで、ストリートユースに対応出来るよう、Load Testを重ね、セッティングを出しました。
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<結果>
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 入庫時、BP5ESで どう走っても真っ黒だったものが、県道8号線で なんとかこれくらいには焼けるようになりました。 走りもトルクフルで、レッドゾーン内8000rpmまではスッキリ回るようになりましたが.. 、1/4開くらい がややオーバーリッチ で もっさりした感じで長時間の持続はツライ。 反面、アイドルからのツキは良い。
 外周部のカーボン付着が、それを物語っていますが、標準の油面高さ、標準のカッタウェイ、前傾姿勢の取付 では、ストリートユース前提の全体のバランスの中で、これが限界でした。

 

 

Part-2
テーマ:CR special の標準仕様のカットアウェイを変更せずしてストリートで高水準な実用域までセッティングを煮詰める。


その後、日をおいて、車検対応でブローバイガスの処理を追加する為、ステンレスメッシュだけのパワーフィルターを追加致しました。
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キャブレターが低い位置にあり、砂塵を吸いやすく、ブーツを履いていないとファンネルにズボンのすそを吸い込まれるので、これを残す事になったのですが...


さぁ、ここからがタイヘンです。
いきなり、常用域でコレですから.. 。
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標準の油面高さ、標準のカッタウェイ、前傾姿勢の取付 では、ジェッティングだけでは対処できないのですが、とにかく1/4開のカッタウェイ領域を何とかしないとどうにもなりません。

 

そんな訳で(やりたくないのですが)実油面調整で、燃調をあわせてゆきます。
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フロートチャンバーを外し、低圧ポンプで燃料供給して、実際の油面を測定し、精度良く油面高さを調整します。
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そこで、問題はこの前傾姿勢、約15度 傾いています。
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標準のフロートレベルでは、スロージェットのエアブリードまでガソリンに没していそうで、逆にメインジェットは油面を下げてゆくと下りや減速時に油面が低くなり過ぎて、唐突に燃料の吸い上げが悪くなり、特有のヘンなバタつきが出るかもしれません。
そのへん、細心の注意を払って、初めは1mmづつ、エエトコに近づいてきたら0.5mmづつ、油面を下げてゆきます。 既に スロージェット、エアスクリュー、ニードル の振り代がなくなっているので、主に中低域(軽負荷域)のセッティングが出るまでこの作業を繰り返します。

 

そしてLoad Test、 ..路上でのフィール確認、プラグチェック、可能ならばジェッティング変更の繰り返しです。
但し、カッタウェイに拠る律則で、どう頑張っても スロージェットだけでなく、ニードルもほとんど振り幅は出ませんでしたが... 。
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この個体は電気位置は最初の入庫時点で診てあり、弁隙間も 当店で腰上を組んであるので おかしな狂い方をしておらず、基本、燃調だけでの勝負です。
一回ロードテストに出ていくらと、一応料金設定は決まっていますが、テクニカルな部分で興味があり、採算度外視で「峠を走って面白いフィール」を トコトン追求してみました。

 

<結果>
 先ず、油面調整で1/2開領域までを納得のゆくところまで持込み、次いで(油面も調整しつつ)高速(高負荷)域が満足ゆくようにして 一旦完了させたつもりの燃調を、気温と湿度の推移から疑問を感じ、悩んだ挙句 油面を0.5mm下げて いじってみましたら、1/4~3/4開領域の劇的変化到来です。
 非常に加速感の軽い、かといって定常走行を嫌がらない、キモチノヨイエンジンに化けました。最後の匙加減が本当に良く効きました。セッティングを出した本人も驚きの結果です。
 高速(高負荷)域は、シチュエーションに応じて、プラグ交換、又はメインジェット交換を要しますが、下は1500rpmから実用域です。多段膨張のノーマルマフラーが効いていると思います。 上は滞りなく8000rpm以上サージが始まる迄ブンブン回ります。流石スムーズボアのCRキャブです。 そして何より、常用域の燃調が合ってきたのでしょう、同じスロットル開度での速度の乗りが良く、周囲との速度差が怖い印象を受けるようになりました。
 店主はよく御客様に、Airhead Twin を、R(80でなく)100ですら 実は「味付け次第で非常に吹きの軽い よく回る素性のエンジン」と説明しますが、空吹かしではわからない、クラッチをつなぎきってからのフィールが、本当に気持ちのよいエンジンに仕上がりました。



中高域(高負荷域)
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微低速域(2000rpm以下集中使用)
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乗って面白い、ワクワクするようなエンジンフィールに仕上がりました。
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お客様曰く「 ..ほんまにヤバイです このバイク.. 」だそうです。

 

(H)

 


 ---次のエンジン温間調整は、BMW 空冷ツイン R80+FCRです。

 

・・・Motoholic(モトホリック)・・・

奈良 東生駒BMW空冷ツイン好きなバイク屋です。
店主は /7系空冷BMWが得意です、ご相談下さい。

 

motoholic00.hatenablog.jp